生きづらさを抱える人たち、そのご家族へのサポートについて

いつも有難うございます。岡田マリです。

今日のブログは「生きづらさに苦しむ当事者、そして家族向けの支援」についてです。

渋谷区では子育て支援や高齢者福祉サービスは充実しつつあります。
待機児童対策については、待機児童は令和3年4月にゼロになりました。
8月には子育てネウボラ事業がさらに進み、子育ての相談を一つの施設で受けることができる「渋谷区子育てネウボラ」施設が開設し、事業も順調に進んでいます。

高齢者福祉については、現在特養施設入所を希望している方は393人(令和3年4月1日現在)。
多く感じられますが、5年ほど前は希望者が約700人の時もありました。
今年の5月には定員84名の特養施設「かんなみの杜・渋谷」も開設しました。
相談窓口については「地域の地域包括支援センター」が高齢者の総合相談窓口として、現在区内11カ所に設置され、電話相談や訪問なども行っています。

一方で生きづらさを抱える人たちへのサポートについては、ほとんど手付かずです。
例えば

「就職したいけれど、コミュニケーションがうまくとれなくて困っている」

「話す人がいなくて、相談する人もいない、いつも孤独で不安でしょうがない」

「子どもが長年引きこもり状態で、どこに相談していいかわからない」
など。
障がいの有無に関わらず、問題を抱えていて生きづらさを感じてい困っている人たちが実はたくさんいます。

そこで生きづらさを抱えている人たちへの支援について、6月の第2回定例会の本会議で質問しました。

ここで渋谷区の精神障害福祉の現状についてです。
「渋谷区福祉推進計画2021-2023年度」によると、精神障害者保健福祉手帳所有者については2015年は1152名、2020年は1658名と506名の増と、4割以上の伸びとなっていました。

また等級別にみると2級809人、3級771人、1級78人。
手帳取得後に支援計画などに沿って支援を受けている人がどれくらいいるのか、自立に向けたサービスがしっかり提供されているかについても今後取組んでいきたい案件です。

年齢別にみると40歳から64歳が1007人(60.7%)と最も多く、次いで18歳から39歳が445人(26.8%)となっています。

ちなみに身体障害者手帳所持者は2015年は5013人、2020年は5231人と 82名の増。
愛の手帳所持者は2015年は764名、2020年は839名と75名の増。
と特に精神障害者保険福祉手帳所有者の増が顕著です。

また自立支援医療費(精神通院)申請件数については2014年は2389件、2019年については2888件と499件の増でした。

これら手帳の取得や自立支援医療費の申請についてはご本人やご家族が相談先や担当所管に連絡、確認、手続きと全て申請をしないといけません。
しかし、そこに行きつかず、どうしてよいかわからないで困っている方たちからの相談が特にこの数年間で増えてきたように感じます。

少し前の研究ですが、国際共同研究(Kesslerら2007)によると、日本人で一生の間にうつ病、不安症など何らかの精神疾患にかかる人の割合は5人に1人と考えられます。

つまり、平均すれば、どの家庭でも、ごく近い親族を加えれば1人かそれ以上が精神疾患に罹患をする可能性があるということになります。
実際、区内でも「心療内科」クリニックを見かけることが多くなりました。

会社や学校などで何らかが原因で通勤、通学ができなくなってしまったり、家族との関係、介護に疲れた方、出産後の鬱などで心療内科に通院するのは今は珍しいことではありません。

しかし、診療所に通院できず、保健所や区役所では一体どこの窓口に相談すればよいのか、何を相談すればよいのかわからず、どこにも繋がっていない人がいるのも事実です。

保健所では精神保健相談を行なっていますが、電話予約制となっており月1~2回、一回30分です。

時間帯が限られている中で事前に予約をしてその場所に行くというのは、今困っていて、すぐに相談したい方は利用しづらいのではと感じます。
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/com/000047381.pdf

現在、渋谷区にある相談窓口は

生きづらさを感じ苦しんでいる人、ご家族 → 渋谷区保健所・保健相談所、 渋谷区役所生活福祉課(生活困窮等でお困りの方)、区施設「さわやかるーむ」 (対象者:区内在住で、現在通院中で症状が安定している方、及び家族、関係者)

自立支援医療費を申請している人 → 渋谷区役所障害者福祉課

精神障害手帳を持っている人 → 渋谷区役所障害者福祉課

障害福祉サービスを利用している人 → 相談支援事業所

などです。

実際、聞きたいことに対してどこまで対応できるのか、ニーズにあった相談先であるのか悩ましいのが現状です。

また、せっかく区役所に相談に行っても、色々聞かれて、説明し、窓口をたらいまわしになり、窓口で何度も同じことを説明し、疲れてもう区役所には相談に行きたくない、という方もいらっしゃいました。

また渋谷区のホームページでも生きづらさを感じている人向けや引きこもりを対象にした明確な相談窓口はなく、一体どこに相談すればよいのか、それすら見つけられず、結局一歩を踏み出すことができない状況の方が多いと思います。

そこで生きづらさを感じている人たちがニーズに振り分けられてその相談先にたどり着くという従来の相談体制ではなく、 困りごとを丸ごと相談できるような相談窓口の設置とアウトリーチ支援を行うべきと感じています。 

アウトリーチについては保健所も行なっておりますが 、本会議の答弁では昨年度は23人でしたので、ここはさらに力を入れたいところ。

相談内容としては
「相談先が分からない」「話を聞いてほしい」

「どんなサービスがあるのか、自分が使える制度があれば知りたい」

「引きこもりの我が子の対応をどうして良いか分からない」

「介護をしているので相談に行けない」

こうした相談内容に対して話を聞き本人に合った制度やサービスを紹介する、自宅へ訪問するなど相談する方たちの辛さを受け止め、今後どうすればよいか共に考える、このように受け止め対応してくれる相談窓口があれば、本人もご家族もどれだけ救われることか。

第2回定例会の質問の中では経験のある民間事業者による断らない相談窓口、そしてNPOが取り組んでいる24時間対応の 24時間相談可能なチャット相談について提案し、区長からは検討を進めるという答弁でした。

相談窓口で情報を得てそこから少しでも希望が見えて、支援を受けながら少しずつ行動できるようになり、自立をに向けて未来が見えてくるとよいですよね。

新型感染症コロナウイルスの影響で、 生活が大きく変化をする中で、今後ますますこうした相談が増えていくことと思います。
迅速な設置の必要性を感じる中で、引き続き提案していきます。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。