防犯婦人部の研修で八街少年院に行ってきました。
実習室、寮舎、グラウンド、体育館、プール、畑などが点在し、
院周辺にはビルやネオンなどは無く、院内は時折、体育実習中の少年たちの
掛け声が聞こえるくらいで、静かで清々しい空気が漂っていました。
ここでは日本初、米国から取りいれたGMac(Give me a chance)という
矯正プログラムを実施しています。
人間に捨てられ、殺処分目前の犬たちが、少年たちに訓練され、躾けられることにより、
再び譲渡されて人間の家族と暮らせるようトレーニングを行います。
捨てられた犬たちは暴力などにより、人を信じることができなくなっていることが
多くあり、非行をして入所している少年たちが自分と犬の境遇が重ねあわせやすいため、
そんな犬たちの訓練をすることにより彼らの立ち直りにもつながるという
プログラムです。
もし躾を怠ったら殺処分される一方、犬たちの躾がうまくできれば
一般の家庭に引き取られ第二の人生が始まります。
すでにこのプログラムから巣立った犬のご家族から
「よく躾けてくださってありがとうございました」
というお礼のお手紙が届き、その手紙を少年が大事に持っているという
心温まるエピソードを聞かせていただきました。
その他、千葉県警との剣道交流試合を行っており、勝利につながった
成功体験は少年たちの自信へとつながることでしょう。
院内には少年たちが描いた絵や詩、習字などが展示され、プログラムの一環で
作成した木工細工や陶芸作品などもありました。
こうした活動を通して資格も取得します。
入所者は以前に比べると減少しているものの、少年たちの最近の傾向は
振込詐欺などに係った財産犯、また暴力行為などの粗暴犯によって入所した
若年成人が増加しているとのこと。
ひとり親の家庭環境で育った少年も多く、障がいのある少年たちの割合も
増加傾向とのこと。
先に触れた展示されていた習字は見事なもので、詩の中には離婚した両親に
別れて欲しくなかったと綴った詩、入所したことを母に悔い詫びる詩など
心の叫びが表れて切なくなりました。
年に一回の運動会は親子競技や集団競技などとにかく盛り上がるそうです。
少年たちは約11カ月のプログラムを経て出所していきます。
しかし、繰り返し入所してしまう少年が半数という現状もあります。
院内ではしっかりと更生に向けたプログラムを重ね、出所するにも関わらず、
再入所するということは出所後の職場の受け入れ先の確保や更生後の家族や
周囲との関係も要因ではないかと感じました。
少年たちのほとんどが学校に行ったことのない子も多いとのこと。
小中学校の不登校の児童、生徒のフォローをしっかりやっていくことの
必要性を感じました。
たとえ公立の小中学校に行くことができなくても、フリースクールの選択など
様々な手法を模索しながらその子が孤立しないよう向き合っていくこと。
またひとり親の就業先の充実やひとり親の子どもたちがさびしい思いを
しないような居場所の必要性も必要です。
また、障がいをもっている少年の率があがっているとのことでしたが、
今は様々な障がいに当てはめるようになり、以前はそんなに多くの種の障がいが
言われていなかっただけで、実はそれは昔も今も変わらないのかもしれない、
とも言っていました。
確かにその通りだと思います。
しかし、少年たちが療育を受け、周囲もまた対応できれば状況は変わっていた
かもしれません。
少年院を訪れたことにより、改めて取り組んでいく課題が見えてきました。
更生した少年たちが二度と少年院に戻ることなく、出所後に自信をもって新しい生活を歩んでくれることを願わずにいられません。