インクルーシブ教育の現場で見てきたこと 

文京区の柳町小学校に視察に行ってきました。

柳町小学校はこれまでも文京区特別支援教育モデル校指定、
文教育特別支援教育推進モデル校でした。

現在の柳町小学校は「インクルーシブ教育」の内容は
それはそれは目を見張るものがありました。

柳町小学校

柳町小学校の運営方針は

・すべての児童が、豊かなかかわりの中でともに生活できるようにする。
・個に応じた適切な指導・支援を行う。

です。

その運営方針の通り、柳町小学校ではすべての児童が同学年の一員として
学校生活をともに過ごす時間を多く確保していました。

まずは小学校に着いて早々、下駄箱は50音順で配列。
この小学校には特別支援学級用の下駄箱や傘たて、ロッカーが
ありません。
特別支援学級、普通学級ではなく、1年生は1年生の児童として育ちます。

柳町小学校の一日の流れは
1.登校したら全員が交流学級へ入る。
特別支援学級の児童の机と椅子は交流学級の教室にあります。
2.全員で朝の会
3.1時間目の開始。
この後は児童によって時間割が異なります。
特別支援学級で授業を受ける児童は移動。
そのまま共同学習をする児童は残ります。

その後も算数の時間で共同学習に戻る児童もいれば
共同学習から特別支援学級に移動する児童もいます。
音楽の授業はみんな一緒に受けます。
*教員は毎週、その児童にあったスケジュールを出します。

4.給食:みんな教室で一緒に食べます

5.清掃:たてわり班ごとに担当場所を清掃
*たてわり班は特別支援学級の児童を含むすべての1年生〜6年生の
児童がたてわり班に入っています。

授業で使う教材も工夫されており、教員が開発をし、それらは
通常学級でも使用されています。
児童によってはパソコンを使っている児童もいました。
その児童がパソコンを使って出来れるのであれば、
取り込むと言う方針です。

授業を見せていただいた時、どの児童も自分に合った教材で
集中して授業を受けていたのが印象的でした。

授業によっては個別教室での受けることもあります。
そこでコミュニケーションスキルを学びます。
それもその児童に合ったプログラムのひとつです。

教員への指導も熱心に取組んでいました。
学校全体としてはお医者さんから医療の視点から勉強会や
心理の先生との懇談会などを開催し、常に専門家からの
アドヴァイスも受けています。
その他、教員同士でロールプレイングを用いた勉強会を通して
行っています。

こうした学校環境の中で教員は児童に
「ああしなさい」「こうしなさい」
とは言わずに、児童が自分たちで考えるように
しているんだそうです。
時には子どもたちなりにトラブりながらもお互い理解するように
なるそうです。
お互いを理解することによって子ども同士でルールを考えて作り、
仲良く一緒にやるんだそうです。
例えば、みんなでできるなわとびやソフトバレーです。

児童がその集団の中でその子の力を発揮するためには
どうしたら良いか、それが生かせるように配慮するのが
インクルーシブ教育。

柳町小学校のこうしたインクルーシブ教育は児童や保護者からすると
何も特別なことではなく当たり前のことだそうです。

実際に視察を通しての感想です。
私は見ること聞くこと、公立の小学校でここまで出来るというのは
驚きでした。
何よりも校長先生の考え方や行動がこうした小学校を
作り上げていました。
実際支援員も多いのですが、特に特別支援のスペシャリストではなく、
教員も支援員も皆柳町小学校で実際に現場で
「子どもにとってはどうなのか?」
と日々試行錯誤児童と向き合い、こうした授業の取組み、児童との
関係が作られるのでしょう。
そして児童たちの授業中の生き生きした姿も印象に残っています。

今回、民主党男女共同参画委員会教育分科会で
この視察が実現しました。
非常に実りの多いものでした。
今回の視察は改めて特別支援教育について考えさせられる
きっかけとなりました。