渋谷区 共生社会に向けて LGBT特集

大きな話題になった渋谷区のパートナシップ証明発行。その後もいろんな場所でお問合せをいただくことがありますので、特集としてまとめさせていただきました。

「パートナーシップ証明書」を含む条例の中身について解説させていただきます

パートナシップ証明書に関する条例の正式な名称は「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」です。この条例の内容について岡田マリ的に注目のポイントについてまとめました。

渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例の中身について、

  • 第五条《区及び公共的団体等の責務》
  • 第七条《事業者の責務》
  • 第十六条《他の区条例との関係》の区営住宅や区民住宅条例でも尊重
というのが大きな動きであると思います。

条例案、冒頭から素晴らしい文になっています。渋谷区の目指すべき方向がここに凝縮されていると言えます。

----条例冒頭-----

今なお、性別による固定的な役割分担意識とそれに基づく制度や慣行が存在すること、一部の性的指向のある者及び性同一障害等の性的少数者に対する理解が足りないことなど、多くの課題が残されている。
渋谷のまちに係わる全ての人が、性別等にとらわれず一人の人間としてその個性と能力を十分に発揮し、社会的責任を分かち合い、ともにあらゆる分野に参画できる社会を実現しなければならない。
区、区民及び事業者が、それぞれの責務を果たし、協同して、男女の別を超えて多様な個人を尊重し合う社会の実現を図り、もって豊かで安心して生活できる成熟した地域社会をつくることを決意し、この条例を制定する。

第二条では用語の定義があります。ここに性的マイノリティについての記載がされています。「男女平等と多様性を尊重する社会」についてはこの条例案名でもあります。

----第二条《用語の意義》----

男女平等と多様性を尊重する社会:
性別等にとらわれず、多様な個人が尊重され、全ての人がその個性と能力を発揮し、社会のあらゆる分野に参画し、責任を分かち合う社会をいう。
性的少数者:
同性愛者、両性愛者及び無性愛者である者並びに性同一性障害を含め性別違和がある者をいう。
パートナーシップ:
男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える戸籍上の性別が同一である二者間の社会生活関係をいう。

第三条、今回この条例は同性パートナシップ証明のみがクローズアップされていますが、すべての性別の人に対して適用される普遍的な価値を目指すことが明記されています。

----第三条《男女の人権の尊重》----
性別による差別的な取扱い、ドメスティック・バイオレンス等が根絶され、男女が個人として平等に尊重されること。など

この第四条は、性的マイノリティに対しても行政として、社会として偏見をなくしていくということを明記しています。学校などの教育現場において児童・生徒への配慮についても触れられています。

----第四条《性的少数者の人権の尊重》----

性的少数者の人権を尊重する社会を推進する
性的少数者に対する社会的な偏見及び差別をなくし、性的少数者が、個人として尊重されること
性的少数者が、社会的偏見及び差別意識にとらわれることなく、その個性と能力を十分発揮し、自らの意思と責任により多様な生き方を選択できること。
学校教育、その他の教育現場において、性的少数者に対する理解を深め、当事者に対する具体的な対応を行うなどの取組みがされること。

第五・七・八条は渋谷区行政と事業者、区民についてこの条例の精神を実現する責任について記載しています。また渋谷区内にある他の公共団体の事務所に対しても同様の精神の実現を要請しています。

----第五条《区及び公共的団体等の責務》----

国・他の地方公共団体、その他の公共団体の渋谷区内にける事業所及び事務所は、区と協働し、男女平等等と多様性を尊重する社会を推進するものとする。

----第七条《事業者の責務》----

事業者は、男女平等と多様性を尊重する社会を推進するため、採用、待遇、昇進、賃金等における就業条件の整備において、この条例の趣旨を遵守しなければならない。
事業者は、男女の別による、又は性的少数者であることによる一切の差別を行ってはならない。

----第八条《禁止事項》 ----

区、区民及び事業者は、性別による固定的な役割分担の意識を助長し、若しくはこれを是認させる行為又は性的少数者を差別する行為をしてはならない。

第十条は運用に関する条文です。パートナシップ証明には任意後見契約等の公正証書が必要です。申請手続きがどうなっていくかは条例可決後、要注目です。

----第十条《区が行うパートナーシップ証明》----

区長は、第四条に想定する理念に基づき、公序良俗に反しない限りにおいてパートナーシップに関する証明(以下「パートナーシップ証明」という。)をすることができる。
区長は、前項のパートナーシップ証明を行う場合は、次の各号に揚げる事項を確認するものとする。ただし、区長が特に理由があると認めるときは、この限りでない。

  • 一 当事者双方が、相互に相手方当事者を任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)
    第二条第三号に規定する任意後見受任者の一人とする任意後見人契約に係わる公正証書を作成し、かつ、登記を行っていること。
  • 二 共同生活を営むに当たり、同時者間において、区規則で定める事項についての合意契約が公正証書により交わせれていること。

前項に定めるもののほか、パートナーシップ証明の申請手続きその他必要な事項は、区規則で定める 

第十一条では、区民および事業者に対してパートナシップ証明への理解を求める内容です。また十五条では理解が得られなかった場合の相談について述べられています。

---- 第十一条 ----

区民及び事業者は、その社会活動の中で、区が行うパートナーシップ証明を最大限配慮しなければならない。
区内の公共的団体等の事業所及び事務所は、業務の遂行に当たっては、区が行うパートナーシップ証明を十分に尊重し、公平かつ適正に対応しなければならない。

区長の附属機関として、男女平等・多様性社会を推進するために、恒常的に活動する組織が設置されます

---- 第十四条《男女平等・多様性社会推進会議》----

男女平等と多様性を尊重する社会の水深について調査し、又は審議するため、区長の付属機関として、渋谷区男女平等・多様性社会推進会議を置く。

区民及び事業者は区長に対して相談、苦情の申立てを行うことができ、区長は、それに対して助言、指導を行う。条例の趣旨に反する行為をした者に勧告をすることができ、その場合、推進会議の意見を聴くこととされています。区長の判断ではなく推進会議の意見も聴くというところがポイントです

---- 第十五条《相談及び苦情への対応》----

区民及び事業者は、区長に対して、この条例及び区が実施する男女平等と多様性を尊重する社会を推進する施策に関して相談を行い、又は苦情の申立てを行うことができる。
前項の相談又は苦情の申立てがあった場合は、必要に応じて調査を行うとともに、相談者、苦情の申立人又は相談若しくは苦情の相手方、相手方事業者等(以下この条において「関係者」という。)に対して適切な助言又は指導を行い、当該相談事項又は苦情の解決を支援するものとする。
区長は、前項の指導を受けた関係者が当該指導に従わず、この条例の目的、趣旨に著しく反する行為を引き続き行っている場合は、推進会議の意見を聴いて、当該関係者に対して、当該行為の是正について勧告を行うことができる。

第十六条では、区の他の条例への影響についての記載があります。区営住宅・区民住宅への申込みが可能になります。

---- 第十六条《他の区条例との関係》----

渋谷区営住宅条例(平成九年渋谷区条例第四十号)
区営住宅条例第五条、区営住宅の利用できる条件の要件が変わることになります。
渋谷区区民住宅条例(平成八年渋谷区条例第二十七号)
区民住宅条例第七条に注目!区民住宅の利用要件も変わることになります。

その他区条例の規定の適用に当たっては、この条例の趣旨を尊重しなければならない。