渋谷区 共生社会に向けて LGBT特集

大きな話題になった渋谷区のパートナシップ証明発行。その後もいろんな場所でお問合せをいただくことがありますので、特集としてまとめさせていただきました。

可決に向けて ~提案を後押し~

「困っている人の役に立つ」をモットーに活動を続ける中、待機児童などの課題の多い子育て支援についても、少しでも役に立てればという思いで「冊子渋谷区ガイド」発行や、子育てトークを開催しています。 今回のパートナーシップ証明書の発行の提案については、当事者の友人たちはもちろん、アポイントをとってNPO代表や弁護士さん、また様々な立場のみなさんから直接お話を伺ったり、勉強会に参加させていただき、彼ら・彼女たちの悩みや不安などを共有させていただき前進したものです。
みなさんの話を聞けば聞くほど、「渋谷区が証明書を発行しなくては!」と奮起し、長谷部議員の提案を後押しする形で、議会での提案繰り返し、区長の前向きな答弁を引き出しながら、検討会の発足、条例案の提出という経緯になりました。

平成25年6月そして平成26年6月と続けて2回、区議会で、パートナーシップ証明書発行について提案をしました。渋谷区議会でパートナーシップ証明書発行について最初に提案されたのは、長谷部健議員の平成24年6月議会での質問でした。それに続いて提案を後押しした理由を説明しますね。
 
1989~91年までアメリカのマサチューセッツ州に留学をしていた頃、大学のキャンパスにはゲイやレズビアンの学生や職員がいました。
友人から「ぼくのママの結婚相手だよ」と紹介されたのは女性だったり、ウェディングパーティがあったりと、普通に生活を送り社会に溶け込んで当たり前の存在でありました。

その後、日本に帰国した当時からも当事者である友人たちがいましたが、彼ら・彼女たちは日常生活において、窮屈さがあるようでした。職場ではカムアウトしない、パートナーと部屋を借りるときは友だち同士ということで借りなきゃいけない、パートナーが病気になったとき手術の同意書を書けない、パートナーとの関係が第三者に認知されていないがための将来への不安等、私たちが当たり前にできることが彼ら・彼女らにはできなかったり困難であったりすることがありました。カムアウトしたことにより、職場に居づらくなって仕事を辞めざるを得なくなったという話も聞きます。まだまだ偏見を感じている人たちがいるのも事実です。

2013年、増原裕子さんと東小雪さんのウェディングパーティに出席した時に、結婚式を挙げるということだけでも会場手配等でご苦労があったということを聞きました。26年前のアメリカではすでに同性カップルによるウェディングパーティやっていたことを考えると、同性パートナーシップ証明の発行などの行政の手伝いが、不便の軽減に役に立つのではないかと思いました。またすでに同性パートナーの福利厚生について着手している企業もあるようですが、こうした企業にとっても証明書があると大きな助けになる、と言った声も聞いていました。
 
同性「婚」については戸籍法・憲法にかかわるので国の事項です。また「婚姻」に関する考え方については、色々な立場や意見があると思います。今回の条例案については、この現行の婚姻制度についてどうのこうのとするものではありません。渋谷区にもたくさんいる性的マイノリティの方々、まずは地方行政による証明書発行で、その方々が生活を送る上で感じている不便を少しでも減らしたい、また更にはこういう動きがいろんな偏見を減らすことにもつながり、多種多様な方々が堂々と生きる社会につながると信じています。

実は私も留学していた頃、人種差別ではないかと思うような扱いを受けたことがありました。そんな経験も今回の証明書発行提案につながっています。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。日本ではまだまだ障がい者、性的マイノリティへの心のバリアがあるんじゃないかな、って感じます。オリンピック・パラリンピックに向けてハード面の整備だけでなく、こうした心のバリアフリーについてももっと前進するよう、今回のパートナーシップ証明書がひとつのきっかけになればという思いで提案を後押ししました。

平成25年、26年と議会でパートナーシップ証明書について質問した質問内容と桑原区長の答弁

平成25年 6月定例会議会(第2回)

岡田マリ 質問

最後の質問は、LGBTパートナーシップの証明書について、病院の利用や手術の立ち会い、不動産、区の証明書の代理手続などについて配慮が可能になるような仕組みを提供してほしいという提案です。

 LGBTパートナーシップについては、ちょうど一年前の平成二十四年第二回定例会において、無所属クラブの長谷部議員から初めて質問があったのは、皆さんも覚えていらっしゃるかと思います。

 再度LGBTについて説明をすると、LGBTのLはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーの人々をまとめて呼称する頭字語で、セクシュアルマイノリティとも言われています。
 さて、この一年間で世界では、同性同士で婚姻ができる同性婚の合法化は、オランダを初めスペイン、アルゼンチン、最近ではフランスが成立し、十四カ国となりました。既に婚姻に近い法的権利が与えられるというパートナーシップ法は約三十カ国で成立しています。現在、アメリカでは、最高裁が、結婚は男女間に限ると定義した二つの法の合憲性について、今月、六月に判決が出る予定です。
 日本でも、メディアや雑誌でも話題になったり、携帯電話会社がファミリー割引の対象に同性カップルを対象にした例や、企業においても「セクシュアルマイノリティの基礎知識」や「職場での性的少数者への対応について」といったテーマで勉強会などを実施しています。最近では、大手結婚式場で同性パートナーによるウエディングプランも企画され始めています。
 そんな中で、渋谷区において、LGBTの人たちに理解を持ってもらうという目的も含めて、LGBTパートナーシップ証明についての提案です。

 ここで、事実婚について説明をさせていただきます。

 事実婚は、夫婦(パートナー)との世帯・続柄の記載については幾つか方法がありますが、その中で、住民票を同一にするもので、一方が世帯主となり、もう一人の続柄を「妻(未届)」または「夫(未届)」と記載する方法があります。この住民票の記載により、事実婚の場合は、健康保険、年金関係、行政サービスなどにおいて、一定の範囲で法律婚と同様の保障を受けることが可能となっています。

 さて、翻って同性同士のパートナーにとっては、こうしたサービスが一切受けられないというのが現状です。そこで、渋谷区独自にパートナーシップ証明書を発行するという提案です。健康保険、年金関係、行政サービスなど、法にかかってくることは難しいにしても、証明書により、彼ら、彼女らが生活するに当たって様々な面で配慮されることにつながります。例えば、入院や手術の立ち会いが可能になったり、部屋を借りるときも、通常は同性で借りるとなかなか困難なケースがあるようですが、証明書があることにより借りやすくなるとか、さらに区が発行する住民票などの証明書も、代理で手続も可能になったりするでしょう。区民住宅等に証明書を持つ同性のパートナー同士でも、申請を可能にするとか、同性間のカップルでのDV相談も受けられるようになるなど、今後、セクシュアルマイノリティの人たちにおいても、行政の各サービスが受けやすくなるよう、区としても対応していくべきと考えます。

 セクシュアルマイノリティの人たちは、学校や職場等でいじめを受けやすかったり、自殺率が高いとも言われています。そんなセクシュアルマイノリティの人たちには、制度がないという不安が常につきまといます。特に渋谷区はLGBTの人たちが多く在住・在勤している地域です。渋谷区が証明書の発行やセクシュアルマイノリティの人たちへの支援を行うことによって、その存在の理解につながるだけでなく、彼ら、彼女らが生きていく上での大きな勇気を与えることにもなると思います。

 世界では、LGBTの法律が速いスピードで整いつつあります。遅かれ早かれ、LGBT支援の制度は行政機関でも整え出すという流れに向かっていくことでしょう。まさに時代は多様性の時代です。「平和・国際都市渋谷」として、ダイバーシティ、多様な人たちがいるということも、ここ渋谷区の特徴の一つであることでしょう。この多様な人たちの中の一員であるLGBT、セクシュアルマイノリティの支援にも力を入れ、この渋谷区から大きな一歩を踏み出し、今後、日本においてパイオニアとなっていくことでしょう。御所見を伺います。

区長答弁

最後に、LGBTパートナーシップについてのお尋ねがございました。

 病院利用や手術の立ち会い、不動産、区の証明書の代理手続などに配慮して、区独自のパートナーシップ証明の発行を検討してほしいと、こういうお話でございました。

 渋谷では、平和・国際都市として多様性の人々を受け入れているところでございますけれども、LGBTの方々も含め、様々な人たちが、それぞれ能力を生かしながら、活躍、生活できる場所でなくてはならないと、このように思っております。

 議員御指摘のように、先ほどございましたけれども、オランダやスペイン、アルゼンチン、最近ではフランスも同性婚が合法化されたということでございます。他方、国におきましては、平成十六年七月に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が施行され、家庭裁判所の審判により戸籍の性別変更が認められるようになりましたが、いまだ日本の法律では、結婚ということでは意見が割れ、認められていない状況でもございます。

 このような中で、議員御提案のパートナー証明の発行につきましては、国内法や国際法などの関係を考え合わせるとき、制約も大きく、検討すべき課題が多くあると思いますけれども、今後、専門家の御意見等も聞きながら前向きに検討してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

岡田マリ- 区長答弁を受けて

LGBTにつきましても、専門家の意見を聞きながら、前向きに検討という非常にすばらしい答弁をいただいたと思います。ありがとうございました。

 LGBTにつきましては、今、世界中で、先ほども申し上げたように、合法化、法的権利というものが進んでおります。今、アジアでは、どこが一番最初に、どの国がこれを始めるかといったところで、また非常に注目をされておるところでございます。是非、この渋谷が、可能な限り、可能な範囲で証明書発行等にまずは取りかかって、日本を動かす大きな一歩になればいいなというふうに思っていますので、是非引き続きよろしくお願いします。


平成26年 6月 定例会議会(第2回)

岡田マリ 質問

「(仮称)渋谷区多様性社会推進条例の制定にかかわる検討会」について伺います。

 今定例会で「多様性社会推進条例」の制定に向け、調査、研究するための検討会の経費が補正予算で計上されました。区長発言の中にも、「ダイバーシティは外国人や女性の社会参加のみならず、文化や宗教、言語の違い、性同一性障害を含めて、一人一人の違いを受け入れ、その違いが創造性やエネルギーを生む社会でなければなりません」とありました。

 以前、無所属クラブの長谷部議員が提案したのを皮切りに、私もLGBTパートナーシップについて提案をした経緯から、検討会の補正予算については大いに期待するものであります。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催に向けて、まちも整備がされ、バリアフリー化も期待されます。文化・ファッションと、ここ渋谷もますます注目される都市の一つとなり、多様性に富んでいます。

 しかし、日本はセクシュアルマイノリティーの人たちについての法的な権利は、まだまだ一線が引かれている状態です。今、先進国では、男とか女とかゲイとかレズビアンという線引きをなくしていくという方向に大きく前進しています。

 今年も去る四月二十七日に、「東京レインボープライド二〇一四」が代々木公園で開催されました。LGBTを初めとするセクシュアルマイノリティーのパレードとフェスタが行われました。

 フェスタでは、同性婚が合法化された各国大使館のブースも含め、たくさんのブース、ステージイベントなど、多くの人たちでにぎわっていました。ホームページによると、約一万五千人というこれまでで過去最高の動員数でした。私も今年はパレードには参加しませんでしたが、沿道で改めてその盛り上がりを肌で感じました。パレードでひときわ大きな歓声が上がったのは、安倍昭恵首相夫人が乗ったフロート車が通ったときでした。こうした様子は、世界中のニュースでも流されたとのことです。

 セクシュアルマイノリティーの人たちは、日常では差別的言動を受けることも見受けられます。パートナーとの部屋探しは物件が限られたり、ルームシェアのふりをして入居をしたほうがよいと勧めるなど、賃貸物件を探すだけでもハードルが高くなったり、女性パートナーと一緒に育てている女性が子どもの親と認めてもらえず、「家族であれば普通に受けられる家族割引などが受けられなかった」などという声を実際に聞いています。

 夫婦、家族であれば健康保険・年金関係、税金の配偶者控除、住宅購入の際の共同ローン、手術の同意書の保証人、入院の際の身の回りのお世話、そしてお墓の管理の権利などがありますが、同性パートナーでは難しいのが現状です。

 当区でも、夫婦であるからこそできること、例えば区民住宅の申請や証明書類の受け取り、さらには保育園のお迎えや保護者会の出席などが考えられますが、区独自にパートナーシップ証明を発行することにより、セクシュアルマイノリティーの人たちが行政や民間の各サービスを受けやすくなるよう、区としてもサポートできるのではないでしょうか。

 こうした当たり前のサービスが受けられない、できないというハードルをクリアするために、是非検討会ではパートナーシップ証明書の発行について大きな課題として対応していくべきと考えますが、いかがでしょうか。今回の区長の(仮称)渋谷区多様性社会推進条例とその制定にかかわる検討会について、区長のお考えをお聞かせください。

区長答弁

最後に、差別的言動を受け、または日常生活を送る上で多くの支障があるLGBTの方々へのパートナーシップ証明書の発行や、渋谷区多様性社会推進条例の制定に係る検討において、大きな課題として検討をしていくべきだという御提言をいただきました。来るべきグローバル時代におきまして、男女平等にとどまらず、文化や宗教、言語の違う外国人など、多様なアイデンティティーを受け入れ、一人一人の主体性が生かされる社会でなくてはなりません。

 そのためには、性同一性障害の方々も含め、多様性を受け入れられ、全ての国民の人間性が尊重され、差別のないまちづくりが進められることが必要であると考え、このたび検討会を設置することにいたしたものでございます。

 御意見にございましたLGBTの方々につきましても、個人として尊重されるべきことは言うまでもございません。

 お尋ねのLGBTの方々へのパートナーシップ証明書につきましては、法制上の制約等もございますので、多様性社会を推進するこの検討会において、さらなる検討を進めてまいりたいと存じます。
 六月十四日には、性同一性障害の子ども、小中学生六百六人について、文科省からその対応結果について発表がございました。服装やトイレ、あるいは更衣室、宿泊研修等、様々な形でこの配慮がされていることを知りまして、私もさらなるこのことを、渋谷区内でそのことについて広めていく努力をしなくてはならない、このように思っているところでございます。

岡田マリ - 答弁を受けて

パートナーシップの証明書につきまして、こちらも大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 このパートナーシップ証明書の発行によって、渋谷区が本当に国にも先駆けて多様性を尊重する地方自治体のパイオニアになっていくことと思います。検討会のメンバーの人選についてもよく検討していただきまして、渋谷区多様性社会推進条例の制定を期待しております。