第2回渋谷区議会ダイバーシティ LGBT研修会が開催されました

2017年02月15日

2月13日、第2回渋谷区議会ダイバーシティ LGBT研修会が開催されました。
テーマは「セクシュアルマイノリティーの子どもたち - 親と子の視点から」。
 
トランスジェンダーとして渋谷区男女平等・多様性社会推進委員も務めている杉山文野さんと文野さんのお母さまに講演いただきました。
 
文野くんはイケメンのお兄さん。
これまでも何度か文野くんの講演を聞いたことがありましたが、今回もわかりやすく、特に盛りだくさんの内容で私たち区議会議員と区役所職員の課長・部長に話してくださいました。
 
幼少期から小中高校生時、就職時における葛藤。
そんなイケメン文野君ですが、次女として生まれ、その後の幼少期、そしてルーズソックスに制服姿の高校生時代の写真を見せてもらいながら講演は始まりました。
 
子どもの頃からスカートを履くことへの違和感、
 
小中高校では制服やトイレのこと、合宿や修学旅行時のお風呂でのこと、プールでのこと、普段当たり前に過ごしていることが、実はどうしようもなく大きな問題で、
トイレに行けずに膀胱炎になってしまう子もいること、お風呂に入ることに抵抗を感じ、部活動を辞めてしてしまう子がいること。また部活ではユニフォームが男の子用、女の子用と分かれていてその違和感で続けられない子もいること。
修学旅行やプールに違和感を感じて学校をドロップアウトしてしまう子もいるということ。
そんな違和感をクラスメートに知られてしまったら。。またもし自分がトランスジェンダーだと知られてしまったら、自分の居場所がなくなるのでは、という恐れといつも隣り合わせの学生生活だったそうです。
 
そして就職活動時には果たして職場の理解が得られるのかという不安。
 
私が当たり前のように暮らしていたことが全て文野くんにとっては不安や葛藤であったんだと知りました。
 
そして今でも海外に行った時に容姿とパスポートの性別が違うということで、なかなか入国できないことがあるということ、
選挙の葉書に記載されている性別を見て、投票所の受付で説明しなければならないこと。
 
親や友だち、職場の身近にいる人たちだからこそカミングアウトできない不安が常につきまとっていた苦しさ。
常に自分の居場所がなくなるかもしれないという不安。
 
お母さまからは、小さいころから男の子みたいな恰好ばかりさせていたからこうなってしまったのか、という後悔、そして文野君がカミングアウトしてからは仲の良い方からの理解のないコメントもあったとのこと。
様々な葛藤を経て、今では女の子で産んだ文野君ですが男の子であるということに違和感はなく、文野は文野ということを丸ごと受け止めていらっしゃいます。
 
犯罪を犯したわけでなく、ただ普通に生きてきただけなのに、どうして差別されなければならないのか、というお母さまの切実なお声が心に刺さりました。
 
他にも性について説明いただきました。
 
カラダの性、ココロの性、スキになる性、があって、その掛け合わせによって今まで考えてきた「男」「女」に留まらない多様な性があること。
 
クイズも交えてのわかりやすくお話くださり、なるほどなあと理解できました。
 
そして、セクシュアリティは「目に見えない」ということにも気づきました。
日常生活であまり気にしていませんでしたが、「目に見えない」からこそ、普段から心に留めておくことが大事ですね。
 
「ウェルカミングアウト」がしやすい環境作り、そしてみなさんと接する時に心掛けたいものです。
 
今回は「性的マイノリティ」についてというテーマなのでトランスジェンダーである文野君が当事者として講演してくれましたが、だれでも何らかの「マイノリティ性」はあるということにも気づかせてくれました。
 
マイノリティの方は自殺率も高いということも、私たちが取り組まなければならないことがまだまだあるということ。
 
渋谷区で全国に先駆けてパートナーシップ証明書の発行を行ってきたからこそ、これからも率先して力をいれていかなければならないと強く感じました。
 
例えば小中学校の保健室やカウンセラー室に性的マイノリティの本を置いてみる、もっともっと教育現場の先生、職員への啓発が必要だとも感じました。
 
今回の研修会では文野君ご本人とお母さまからたくさんの問題提起がありました。
 
貴重なお話に心から感謝です。
 
今後は違和感を感じながら悩んでいる子どもたちへの対応など、教育現場における取組みなど提案していきたいです。